はじめに
■TeXと日本語TeX
TeXシステムは、Standford大学のDonald. E. Knuth先生が開発した組版システムで、つぎのような特徴があります。
- 美しい仕上り
- 高度な数式組版能力
- マクロ機能による拡張性
- 多様な出力環境への対応
- マークアップ方式での組版指定
- オープンソース
このTeXに、つぎのような日本語機能を追加したものが日本語TeXです。
とくに、縦組機能をサポートしているバージョンを、横組だけの日本語TeXと区別し、
pTeX(Publishing TeX)と呼んでいます。
- 横組と縦組の混在
横組だけでなく、縦組でも文章を組版できます。
また、1ページに横組と縦組の混在も可能です。
- 日本語禁則処理
句読点や括弧類の禁則処理に対応しています。
- 文字間スペース
和文と和文、和文と欧文の間のスペースを調整することで、
高い品質を得られます。
- JFMによる和文文字組版
日本語の文字組版にJFMファイルを用います。
日本語TeXの、これまでの大きなトピックを表に示します。
年 | バージョン | トピック |
1987 | j1.0 |
最初のバージョン |
1987 | j1.1 |
NEC PC9801シリーズ用の日本語MicroTeX発売 |
1990 | j1.7 p1.0.9 |
縦組への対応(TUGboat number 3, volume11) |
1995 | p2.0 |
TeX 3に対応 |
2002 | p3.0 |
使用条件をBSDライセンス
(日本語訳)に |
■LaTeXと日本語LaTeX
TeXを用いると高い品質での組版結果を得ることができますが、
文章ファイルへの命令の指定が簡単ではありません。
そこで、Leslie Lamportが開発したのがLaTeXです。
LaTeXは、一般のユーザがTeXを簡単に扱えるよう、つぎのような機能を提供します。
- 見出しや箇条書き、表組など、文章の構成要素を指定するコマンド体系
- 目次や索引、相互参照などのサポート
- フロート型の図表
- スタイルファイル(レイアウトのテンプレート)の利用
LaTeXの機能はすべて、TeXのマクロ機能だけで実現されているため、
TeXが稼働するシステムならば、どこでも利用することができます。
また、TeXの機能を直接利用するよりも簡単です。
この結果、TeXそのものを使うよりも、LaTeXで文章を作成するほうが一般的
になっています。
アスキーの日本語LaTeXは、LaTeXを日本語組版用に調整をしたものです。
pTeXと同様に、縦組機能をサポートした日本語LaTeXをpLaTeXと
呼んでいます。
■LaTeX2eと日本語LaTeX2e
LaTeXは、TeXの性能を気軽に使えるとあって、世界中で広く利用されてきました。
その反面、言語や用途向けにいくつものバリエーションが存在してしまいました。
そこで、それらのLaTeXをまとめようとして開発されたのがLaTeX2eです。
LaTeX2eは、特別な機能をパッケージとして提供することで、
ユーザが使う場面に応じて、必要な機能を選択することができます。
また、Postscript環境への親和性も高くなりました。
このLaTeX2eを日本語化したものが日本語LaTeX2eです。
日本語LaTeX2eは、横組だけのバージョンは存在しませんが、
pLaTeX2eと呼んでいます。
なお、LaTeX2eの登場によって、それまでのLaTeXを明示するときは、
LaTeX 2.09と言われます。
[pTeX home page]